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地球市民アカデミア > 過去の活動 > 10期(2003年度)

国際協力、開発教育、貧困、メディアリテラシー、社会的企業、地域活性化などを、講義・ワークショップで学ぶ通年の市民講座。講師,ファシリテーターによる教材,手法,研修,セミナーの紹介。

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秋合宿‐自分の足元を見つめて‐

講師:金迅野氏(大韓キリスト教会川崎教会日曜学校教師、劇団「ホランイ」メンバー)

世界の諸問題に関わっていくためには、まず自分がどこに位置しているのかを知ることが大切です。世界や社会を問う前に、私たちは隣の「他者」と望ましい関係性を築くことができているか、自分のアイデンティティはどこにあるのかを考える必要があります。自分の足元を見つめ直すワークショップを行い、後期の共働学習へつなげていきます。

【プログラムの様子】
講師:金迅野氏

「5本の指」のワークをしながら自分の中にある多様性について考えます。

開かれた物語「ほえることができない犬」を用いて行った演劇ワークショップ。

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講師の金さんを囲んでの座談会
後期グループ学習のテーマ決め
前期の学びのまとめ

【受講生の感想】
・いかに生きるかを見つけ出していくことは大事だと思った。

・「ここには聴く耳がある」という言葉が胸に響いた。

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学びの広場をつくる

講師:岩川直樹氏(埼玉大学)

自分の中にわきおこる疑問や好奇心は学びの出発点です。それが他者や社会につながっていき、何か変化を生み出していく力になるでしょう。学びの場を豊かなものにしていくために、お互いの声を聞きあい、関係を編み合わせていくこと、その”協働の知恵”について語っていただきます。

【講義内容】
全体を通して、人との関係性をいかにつむいでいくか、よりよい「学びの場」とはどんな場であるか、その場を築くためにどうしたらよいのか、についてお話いただきました。

岩川先生は、教育や社会の問題を捉えるとき、関係論的な視点で捉えることが大切であると考えておられます。

コスタリカの平和教育などを具体例としてあげつつ、人は互いにボイス(声)を編み合わせて関係性を築き、その「場」を通して、学んだり成長したりしていく存在であること、だからこそ、声が響きあい、反応しあう「広場」が大切である、ということをお話くださいました。

広場は一人では成り立たず、互いの<声=voice>のアクションとリアクションがあってはじめて生まれる。そして声が受け止められると発信できるようになり、広場が広がっていく。

受講生にもそれぞれの今いる「場」やこれからの「場」について考えてもらいながら、声をつむいでいく「広場」の意味と広がりについて語っていただきました。

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【受講生の感想】
・場づくりに興味があるので、今回の講義はすごく勉強になった。「遊び心」は僕も同じく重要だと思っています。特に印象的だったのは、広場の種の話!やはり、リアクションがあって話がふくらんで盛り上がって、話が進んでいく!

・また今日も他者を認めるとか受け入れるとか、そんなことの難しさや大切さを考えさせられた。いろんな価値を認められる柔軟な心を持ちたいな。

・私は声を発しているのか、聞いているのか?もっともっと人とかかわりをもっていきたいな。私も広場を作っていこーう!

【今日の一言】
どんな場も出発点は一人の人間。でも一人だけでは広場の種はできない。広場はアクションとリアクションから生まれる。声はだれかに受け止められたときはじめて声になる。

「私」のことは私が決める‐性と生の自己決定‐

講師:米沢泉美氏(IT技術者、トランスジェンダー)

「私」とは何によって規定されるのでしょうか。外見?染色体?社会の目?法律?・・・10人いれば10通りの「性」と「生」があるはず。「性」を考えることは「生」を考えること。戸籍や住基ネットなどの制度がつくり出す問題を通して、性別やアイデンティティ、生き方の多様性と共生について考えます。

【講義内容】
開発協力を語る時にもよく目にするようになった「ジェンダー」という言葉。殆どの人にとっては深く考える必要のない自分の「性別」。自分にとっては当たり前に思っている事でも、そうでない人もいるのに、日本では戸籍や住基ネットなどの制度によっても自分の「性別」を強制されているらしい。

そもそも、「男」「女」という「性別」は、誰がどうやって決めているの?性は多様である。性は何によって決まるのか?性染色体や外見などではなく、自分の意思で決めるしかないはずなのだが…。

トランスジェンダーとはどういう存在なのか。トランスジェンダーが生きづらい社会は、自分の「性別」に疑問を感じない人にとっても生きづらい社会なのではないか。西洋的開発概念が入ってくるとともに、トランスジェンダーの人たちが生きづらくなるのは何故か。IT技術者で「トランス・ジェンダリズム宣言」の著者でもある米沢泉美さんから、自分の体験から出てくる話に、受講生はとまどいながらも引き込まれていました。

前半は「私」と性について考えるところから始まりました。「あなたは男性ですか?女性ですか?」「あなたの内面の女らしい部分は何ですか?」「人間の性別は誰が決めるべきだと思いますか?」などの質問の書かれたシートを配り、受講生に自分の「性」について考えてもらいました。男らしさと女らしさについて、それが何によって決められるのかなど。

後半は前半からの発問を元に、社会との関係の中での「性」について議論が深められました。性の多様性、多軸性について、ビデオ上映や米沢氏の体験を通して語られた。10人いれば10通りの性があるということ、ジェンダーを語る上で大切な概念(ジェンダーアイデンティティ、性指向、ジェンダーロール、制度的性別など)について整理し、さらには性別の自己決定権と、それを阻む戸籍や住基ネットなどの制度的性別、母体保護法28条をはじめとする医療の問題や社会との関係などへと展開されました。多様な性別のあり方と共生についてなどを語って戴きました。

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【受講生の感想】
・男とか女とか、それ以外とか、性にもいろいろな形態があるらしいということがわかった。いずれにしろ、どのような性的アイデンティティーを持っていようと、それによって差別されず、本人が自己肯定感を持って生きられたら良いと思う。

・たくさん考えてわからなくなってきた。男だとか女などとか、そんなことはたいした問題じゃないと思ってみたり、でもそれってやっぱり重要なことじゃ・・・と考え直してみたり。

【今日の一言】
見た目やふるまい(ジェンダーロール)からは内面(ジェンダーアイデンティティー)は分からない。迷いに始まり、悩みを抱えている「その人」に対する自らの立ち位置を考えてほしい。トランスジェンダーは500人に一人の割合で存在するのだから。

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