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地球市民アカデミア > 過去の活動 > 15期(2008年度)

国際協力、開発教育、貧困、メディアリテラシー、社会的企業、地域活性化などを、講義・ワークショップで学ぶ通年の市民講座。講師,ファシリテーターによる教材,手法,研修,セミナーの紹介。

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秋合宿―自分と向き合う、他者とつながる―

【概要】
日時:9月13日(土)~9月14日(日)
場所:八王子セミナーハウス
講師:青木将幸(青木将幸ファシリテーター事務所)

【コンセプト】
前期講座で学んだことに、私たちはどう関わっていけばいいのでしょうか?他者との合意形成や共有の方法を学ぶ中で自己の関心事と向き合い、共働学習にむけてグループ作りを行います。

【プログラムの様子】
1日目
≪前期振り返り≫
・ぐるり一言
 みんなで円座になり、夏休みのことや今の気持ちなど自由に一言ずつ伝え合いました。自分の夏休みを久し振りに顔を合わせる仲間と共有し、笑いあり発見ありの楽しい時間でした。

・共通点をみつけよう
 2人1組になって共通点さがしを行いました。意外と知らなかったみんなのこと、共通点を見つけた時の喜び、驚き、様々な気持ちが飛び交っていました。

・前期のノートをみる
 他人のノートをみてみよう!と2人1組で前期のノートを見せ合いました。他人のノートには自分のノートと違うことが書かれていて、ひとつひとつ振り返ってみると講座の時とは違う新たな発見があったようです。欠席した時のノートを見せ合って、お互いにフォローし合いました。

・「一番の学び」は?
 前期を振り返って自分にとっての「一番の学び」がなんだったのだろう?と考えてみました。自分が一番だと感じた部分、他のメンバーが一番だと感じた部分、同じことを感じたメンバーもいれば、全く違うメンバーもいました。同じことをやってきたのに人それぞれ感じることが違うことに驚いた様子でした。驚きを正直に出し合い、お互いに感じてきた一番を伝え合うことができた時間でした。

≪グループづくり≫
・テーマ発表
 夏休みの宿題でもあったそれぞれの「テーマ」発表を行いました。それぞれテーマに対しての思いがあり、熱く語りみんなで共有し合うことができました。順番は関係のない自由発表でしたが、自分に近いと思ったメンバーの発表の後に自主的に発表し自然につながっていく様子が見られました。

・グループを分けてみよう
 どうやってグループを作るの?自分は誰とグループになるのだろう?混沌とした中で受講生がグループの決め方を自分たちで見つけようと真剣に話し合いました。みんなが納得するグループの作り方ってどういう方法なのだろう?自分たちでその方法を発見するためにたくさんの意見が飛び交った時間でした。自分たちが納得するために…その方法は翌日に持ち越しとなりました。

2日目
《朝のワークショップ》
・朝一番のワークショップは、2人一組になり、自然の中を歩いて、五感を使おうというもの。小雨がちらつく中、秋の気配もしつつ八王子セミナーハウスの中を散歩しました。参加した感想から、「聞こうと思わないと聞こえない音を感じることができてよかった。普段の生活の中にも見落としているものがあるかもしれない」と感慨深いものコメントもありました。

《午前》
・アイスブレーク
朝の眠気眼を起こすため、いくつかアイスブレークを行いました。その中の一つ、円形になり各自お隣の人の膝をたたきあい、全員のタイムをはかるというゲームをしました。目標の数字が達成できるかどうか、作戦会議をしたり、緊張の中で一緒にどきどきわくわく感を共有することで、いっきに全体が一つになっていく様子が垣間見れました。

・「yes,and」のワークショップ
話し合いや相手とのよりよい関係を築くためのワークッショップでした。この「yes,and」の言葉が、グループ作りのときにも役にたっていたようでした。また、自分の普段の生活の中でも役立てていきたいという声もありました。

・グループ作りの続き
昨日から引き続き、グループ作りをしました。それぞれの思いを一晩寝かせた結果、受講生の1人からポジショニングマップを使ってグループ分けをしないかという提案がでました。テーマではなく、共働学習でどなんなことをしたいかという視点になったときに、また新たなグループ分けの切り口が生まれたようです。その後、仮のグループとしてのまとまりができ、各グループでどういうテーマでどんなことをしていきたいか、そもそもこのメンバーでいいのかなど、時間も忘れて自分と他者との合意形成に奮闘している様子でした。

・講師の方の自分史

・合宿の終わりに
決定した共働学習のメンバーに、グループにつく運営委員が入り、後期に向けてそれぞれどんなことをしていきたいか確認する時間をもったあと、最後に、全体で円になり秋合宿の感想を述べ合いました。グループ作りの大変さ、それとともに秋合宿がみんなとじっくり話し合えて楽しかったという感想が多く出ていました。この合宿を通して、後期にむけての良いスタートを切ることができました。

地域づくり~離島の町・海士(あま)から学ぶ~

【概要】
日時:7月26日(土)
場所:東京YWCA 201教室
講師:山内道雄氏(島根県・海士町長)

【コンセプト】
迫り来る財政破綻前夜に生き残りを賭けて立ち上がった、隠岐島海士町。その独創的な実践例を通し、今後日本社会が直面する問題に対して身近な「地域」からどう向き合っていくのかを考えます。

【講義内容】
海士町の現状、町長としてのご自身の取り組みについてのお話から講義が始まりました。人口減少、公共事業で生きてきた結果として残った地方債などのために追い詰められた状況を打破するために様々な取り組みを行ってこられた山内氏。

「体を張って仕事をしている」、「地域や島に対する思いは誰にも負けない」、「志、熱意が一番」といったご自身の仕事に対する思いを織り交ぜながら、自分たちの島、地域は自分たちが守る、という意識が町長から職員、役場、住民、そして島全体へと広がっていった様子や事例を熱く語ってくださいました。

会社勤めをした後、議会へ入られた山内氏。徹底した行財政改革という守りと、島ブランドの商品開発による攻めの戦略のお話に加えて、「持続可能であるためには、人が大事。人づくりも大事にしている」というお話もありました。Iターンの若者を広く受け入れたり、学生の交流を定期的に持ったりすることを通して、そこに関わる人たちがお互いに「人間力」を高め合うことを目指している、ということでした。

講義の最後は、「離島は日本の縮図であり、超少子高齢化や財政危機などは島国日本が直面する課題の先取りである。ならば、離島の海士町が日本の新しい道を最先端で切り拓いていこう、日本海の小さな離島から日本を変えよう、という気概で頑張っている」という力強いお言葉で締めくくられました。

【受講生の感想】
・とにかく山内さんのPOWERに圧倒されました。海士の事例をそのまま、というわけにはいかないけれど基本は「人」ということはどこも同じなのかなあと思いました。自分の志を探してがんばっていきたいです。

・役場と住民が地域活性をしていこうという取り組みは島ならではでできることだし、とてもいことだと思った。私の住む埼玉でも地域を生かしてこの島のように取り組めないものかなぁと考えてしまう・・・

【運営委員より】
高い志と行動力をもって、島のために尽力されている講師のお人柄と熱い思いがひしひしと伝わってくる講座でした。厳しい状況でも知恵を出し合って、あきらめずに行動を起こしていくことで道が拓けるのだ、という希望を与えられました。

貧困~伝えられていない問題~

【概要】
日時:7月19日(土)
場所:東京YWCA 201教室
講師:湯浅誠氏(NPO法人自立生活支援センターもやい事務局長・反貧困ネットワーク事務局長)

【コンセプト】
途上国だけでなく、今の日本でもわだいとなっている様々な形の貧困。「自己責任論」の中に隠されている問題を通じて、その根源を問うとともに、私たちに何ができるのかを考えます。

【講義内容】
《導入》
自分達の最低生活費を計算する導入をしました。最低生活費計算シートをもとに、最低生活費を計算し、一人で生活する場合は、どれくらい生活費が必要なのかを考えました。

《講義》
講義の最初では、「ホームレス」などの当たり前に使用されている用語の問題について狭義・広義の視点から説明をしてもらいました。湯浅氏自身が、関わった方の事例をもとに日本社会の中にある「貧困」について詳しく話して頂きました。

その中でも、多様化する相談の様子や、労働市場をイメージ化し、正規雇用や派遣雇用のどこが貧困ラインがであるのかを図や資料などから割り出したり、貧困の背景には五重の排除となるものがあるという湯浅氏の独自の視点からの解説に受講生も集中して聞き入っていました。

【受講生の感想】
・貧困問題について、日本国内そして個人といつもとは違った切り口から考えるよい機会になりました。日本の抱える貧困問題の構造はとても複雑であることを実感した。

・日本の社会はこれからどう進んでいくのか深く考えられた。生きづらい社会からどうしたら生きることに希望が持てる社会になるのか。自分の身近からできることを考えて実践していきたい。

【運営委員より】
今回は、実際に現場をもち活動している湯浅氏のお話でしたので理論と実例のバランスのとれた話で分かりやすかったです。講義の最後に「『小さなことをやっても世の中は変わらない』と言う人がいるが、小さなことをやっていかなきゃ世の中は変わらない」という言葉をおっしゃっていたのが印象的でした。

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