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地球市民アカデミア > 2008年07月

国際協力、開発教育、貧困、メディアリテラシー、社会的企業、地域活性化などを、講義・ワークショップで学ぶ通年の市民講座。講師,ファシリテーターによる教材,手法,研修,セミナーの紹介。

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地域づくり~離島の町・海士(あま)から学ぶ~

【概要】
日時:7月26日(土)
場所:東京YWCA 201教室
講師:山内道雄氏(島根県・海士町長)

【コンセプト】
迫り来る財政破綻前夜に生き残りを賭けて立ち上がった、隠岐島海士町。その独創的な実践例を通し、今後日本社会が直面する問題に対して身近な「地域」からどう向き合っていくのかを考えます。

【講義内容】
海士町の現状、町長としてのご自身の取り組みについてのお話から講義が始まりました。人口減少、公共事業で生きてきた結果として残った地方債などのために追い詰められた状況を打破するために様々な取り組みを行ってこられた山内氏。

「体を張って仕事をしている」、「地域や島に対する思いは誰にも負けない」、「志、熱意が一番」といったご自身の仕事に対する思いを織り交ぜながら、自分たちの島、地域は自分たちが守る、という意識が町長から職員、役場、住民、そして島全体へと広がっていった様子や事例を熱く語ってくださいました。

会社勤めをした後、議会へ入られた山内氏。徹底した行財政改革という守りと、島ブランドの商品開発による攻めの戦略のお話に加えて、「持続可能であるためには、人が大事。人づくりも大事にしている」というお話もありました。Iターンの若者を広く受け入れたり、学生の交流を定期的に持ったりすることを通して、そこに関わる人たちがお互いに「人間力」を高め合うことを目指している、ということでした。

講義の最後は、「離島は日本の縮図であり、超少子高齢化や財政危機などは島国日本が直面する課題の先取りである。ならば、離島の海士町が日本の新しい道を最先端で切り拓いていこう、日本海の小さな離島から日本を変えよう、という気概で頑張っている」という力強いお言葉で締めくくられました。

【受講生の感想】
・とにかく山内さんのPOWERに圧倒されました。海士の事例をそのまま、というわけにはいかないけれど基本は「人」ということはどこも同じなのかなあと思いました。自分の志を探してがんばっていきたいです。

・役場と住民が地域活性をしていこうという取り組みは島ならではでできることだし、とてもいことだと思った。私の住む埼玉でも地域を生かしてこの島のように取り組めないものかなぁと考えてしまう・・・

【運営委員より】
高い志と行動力をもって、島のために尽力されている講師のお人柄と熱い思いがひしひしと伝わってくる講座でした。厳しい状況でも知恵を出し合って、あきらめずに行動を起こしていくことで道が拓けるのだ、という希望を与えられました。

貧困~伝えられていない問題~

【概要】
日時:7月19日(土)
場所:東京YWCA 201教室
講師:湯浅誠氏(NPO法人自立生活支援センターもやい事務局長・反貧困ネットワーク事務局長)

【コンセプト】
途上国だけでなく、今の日本でもわだいとなっている様々な形の貧困。「自己責任論」の中に隠されている問題を通じて、その根源を問うとともに、私たちに何ができるのかを考えます。

【講義内容】
《導入》
自分達の最低生活費を計算する導入をしました。最低生活費計算シートをもとに、最低生活費を計算し、一人で生活する場合は、どれくらい生活費が必要なのかを考えました。

《講義》
講義の最初では、「ホームレス」などの当たり前に使用されている用語の問題について狭義・広義の視点から説明をしてもらいました。湯浅氏自身が、関わった方の事例をもとに日本社会の中にある「貧困」について詳しく話して頂きました。

その中でも、多様化する相談の様子や、労働市場をイメージ化し、正規雇用や派遣雇用のどこが貧困ラインがであるのかを図や資料などから割り出したり、貧困の背景には五重の排除となるものがあるという湯浅氏の独自の視点からの解説に受講生も集中して聞き入っていました。

【受講生の感想】
・貧困問題について、日本国内そして個人といつもとは違った切り口から考えるよい機会になりました。日本の抱える貧困問題の構造はとても複雑であることを実感した。

・日本の社会はこれからどう進んでいくのか深く考えられた。生きづらい社会からどうしたら生きることに希望が持てる社会になるのか。自分の身近からできることを考えて実践していきたい。

【運営委員より】
今回は、実際に現場をもち活動している湯浅氏のお話でしたので理論と実例のバランスのとれた話で分かりやすかったです。講義の最後に「『小さなことをやっても世の中は変わらない』と言う人がいるが、小さなことをやっていかなきゃ世の中は変わらない」という言葉をおっしゃっていたのが印象的でした。

メディア~発信する側の論理~

【概要】
日時:2008年7月5日 (土)
場所:東京YWCA 201教室
講師:内藤陽介氏【郵便学者/切手の博物館副館長】

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