講師:笹沼弘志氏(静岡大学教員、野宿者のための静岡パトロール事務局)
豊かといわれる日本の中にも仕事や住む場所を失った、最低限の生活条件を奪われた人々がいます。彼らは「普通の人」にとっては当たり前の生活を夢として描くことすら叶いません。世界の貧困問題と日本のホームレス問題を通じて貧困と福祉のあり方について考えます。
【講義内容】
まず、海外のストリートチルドレンと日本の野宿者の写真を見比べ、どのように感じるのかを話し合いました。海外のストリートチルドレンに対しては「かわいそう」と思うのに日本の野宿者に対してはどうだろうか。何故視点が違うのだろうか、どうして援助の対象として見れないのかまず初めに1人ひとりの心が問われました。
その後、どうして野宿者はそのような生活を強いられているのか、その原因について教えていただきました。そこには、単に失業という理由の他に周りの人間の支えがないという理由があることも知りました。結果、社会的に排除されている現状を知りました。
野宿者たちに限らず、年間3万人と言われる自殺していく人々や幼児虐待などの問題もあわせて提議していただきました。がんばりきれなかった人が社会的排除されているんじゃないだろうか。もともとがんばらなくちゃいけないのか?など考えました。そして真の自立とは何であるかを考えました。
後半は新しい自立の考え方を提示していただきました。例え経済的な自立はしていなくても自分の自由を得ることができること。多様な援助をうけつつも自由に幸福を追求できる社会。そのような社会を作り上げるために、一人ひとりが何ができるのかを考えされられた講義でした。
【受講生の感想】
・経済的に豊かというイメージが強い日本にも野宿者という形で貧困があるということ、そしてそれが政策や人々の偏見といったものによる 「社会的排除」によることがわかった。
・貧困と日本をあまり結び付けづらかったが、話を聞いて 問題は遠い地だけにあるのではないと思った。
【今日の一言】
皆が夢を描けるために福祉がある。そして「わたしの幸福を思い描き実現してゆく」条件の保証。