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世界の読み方・語り方 - 地球市民アカデミア > 過去の活動 > 10期(2003年度)

国際協力、開発教育、貧困、メディアリテラシー、社会的企業、地域活性化などを、講義・ワークショップで学ぶ通年の市民講座。講師,ファシリテーターによる教材,手法,研修,セミナーの紹介。

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世界の読み方・語り方

講師:野中章弘氏(アジアプレス・ジャーナリスト)

私たちは常にテレビ、新聞やインターネットなどさまざまなメディアを通して膨大な情報に接しています。果たして、それらの情報を単に、「事実=真実」として受け止めてよいのでしょうか。9.11、イラク情勢や北朝鮮問題など、あふれる情報をどう読み取り、どう自分の力で語っていけるのかを考えます。

【講義内容】
全体を通して、受講生に、世界で起こるさまざまな出来事を、マスメディアから発信される情報を通してどのように考え、受け止め、どのように語っていくべきなのかについて、考えるきっかけにしてほしい、というのが今回の願いです。世界をどう見ていくべきか、を考えることは、自分の身の回りの出来事をどう見ていくかにもつながる視点であり、国際問題を考えていく上でも大切な視点です。その点を踏まえ、野中さんご自身の、ジャーナリストとして長年メディアに関わってきた経験や、マスメディアのしくみや問題点、メディアリテラシーの必要性、今後の方向性などについて語っていただきました。

前半は、マスメディアのしくみやそこに内在する問題点について、イラク戦争などのビデオや新聞を題材に、講義くださいました。。不特定多数の視聴者に伝えるためにはその番組を見てもらわなければ意味がない、そのために問題を単純化せざるを得ないという構造がマスメディアにはある。また、メディアから発信される情報はすべて偏向しており、「中立」な立場はありえない。「真実」は見る者によって多様であることを前提として認識しておく必要があるのだということ、だからこそ、見る側がそれらを認識した上で、根源的に物事を考えていくよう努力しなければならないのだということ、つまり、メディアリテラシーの必要性についてお話くださいました。

後半は、アジアプレスでどのようなことをされているのか、メディアにどう関わっていこうとされているのか、今後の展望も踏まえて、野中さんご自身について、とことん語っていただきました。マスメディアが伝えていることは全体のほんの一部でしかなく、伝えていないところに、実は大事なことがたくさんあるのだと感じたことが現在の野中さんの活動の出発点。現場体験からくる実感のこもった力強さを感じました。
打ち合わせ中も5分おきに電話が鳴るという、ご多忙の中を、長時間にわたりお付き合いくださいまして、本当にどうもありがとうございました。

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【受講生の感想】
・”知らない”ということの重大さを感じました。私が知らないことは、世界には本当にたくさんあると思います。マスメディアによって、知らないうちに偏った見方に流されていることに気づきました。ただ受けているだけでは、何も見えてこないと分かったので、いろんな情報に敏感になろうと思います。自分がどんな価値観で考えていくのか、その価値観自体をここでも考えていきたいと思います。

・報道はいろいろな角度から見ることが必要である。その多くの報道から取捨選択するときに、自分の人生観と考え方をしっかり持つことが大切である。その人生観や価値観をどのように確立するのかが難しい・・・。

・普段、接している情報が偏りのあるものであることは、なんとなく感じていましたが、メディアでなかなか取り上げられないテーマや人々についてどうしたら知ることができるのかと思いました。

【今日の一言】
情報はすべて偏向している。自分の知っていることは世界のほんの一部にしか過ぎない。マスメディアの伝えていないところに、実は大事なことがたくさんある。

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