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地球市民アカデミア > 2004年07月

国際協力、開発教育、貧困、メディアリテラシー、社会的企業、地域活性化などを、講義・ワークショップで学ぶ通年の市民講座。講師,ファシリテーターによる教材,手法,研修,セミナーの紹介。

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世界の読み方・語り方

講師:野中章弘氏(アジアプレス・インターナショナル代表)

多様なメディアを通して私たちは溢れる情報に接しています。しかし、それらを多面的に受け止め、「真実」を見出していると言えるでしょうか。イラクや北朝鮮などの報道を通して情報をどう読み取り、語っていくかを考えます。

【講義内容】
前半はイラク戦争に関するアンケート・クイズから受講生の平和と戦争についての質問から始まりました。人々は平和を望んでいるのに、戦争が起きるのはなぜか。平和の為に戦争をするという事は一体何を意味しているのか、またその矛盾の満ちた戦争はメディアを通してどのようにして私たち受け手側に届くのか。イラク戦争の新聞やビデオを教材に講義は進みました。

後半ではアジアプレスは何を社会・世界に発信するのか、また野中さんご自身がジャーナリストである事の意味等、熱く語って頂きました。また質疑応答で「バランスのとれた情報を取得する為にはどうすればよいか」という問いに対しては、考える力(読む力・書く力)「思考の筋肉」を付ける事が重要と仰っていました。

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【受講生の感想】
・今回の野中さんの話には非常に共感を持ちました。まずメディアの在り方と味方について。様々な立場のメディアがあることは仕方がない。それを見聞きする人が自分で考える力を持って、疑問を感じ続ける、そして別のメディアを模索し、さらに考え続ける。これが遠回りのようで、やはり唯一の正しくメディアを見る方法だと思います。

・「戦争を根源的に考えてみよう」最初にホワイトボードに書かれた言葉は、戦争ということだけでなく、あらゆる問題に対しても言えることだと思った。問題はどこにあるのか、矛盾があるなら、その理由を突き詰めていく、そんな問題の捉え方(考え方)をすることが必要だと思った。

【今日の一言】
自分の頭で考える力を身に付けてほしい。モノの最後は自分で考えて、マイノリティになることを恐れず、自分の考えを恐れず、個が出せるように頑張って下さい。モノを考える人間になって下さい。

貧困‐見えてないこと、見ていないこと‐

講師:稲葉剛氏(NPO法人自立生活サポートセンター・もやい代表理事)

貧困は遠い国だけの問題でしょうか? 豊かといわれる日本の中での貧困-ホームレス問題など-は、その人の責任によると思われがちです。今、目の前にある事柄を通じて、貧困を生み出す社会構造や、人が人らしく生きるとはどういうことかを考えます。

【講義内容】
日本の野宿者(ホームレス)の状況が生み出される要因は、 他国のように明確な労働問題としてではなく、個人の責任によると捉えられがちである。行政は、ホームレスの人々や外国人労働者を「排除」してきたが、最近はNGO団体との連携もとりつつ対策を講じ始め、行政の対応にもやや変化がみられる。近年、若者の不安定就労の傾向が強まり、新たな相談・支援形態の必要性も感じられる。 

競争社会の中で、経済面のみならず、人間関係も失っているホームレスの人々の自立支援に医療保障・周囲の理解は欠かせない。他国のような宗教ベースも高福祉社会制度もない日本。だが、勝てずともせめて負けない社会は一人一人の手でつくっていけるのではないか。

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【受講生の感想】
・「ホームレス」状態にある人々が一人でも減ること。"排除"ではなく"回復"できること。豊かさの影にある現状をまず知ることが必要だと思う。差別、偏見を失くすことがその第一歩となり得るのではないか。まずは直視したい。

・「貧困」は私にとって大きなテーマでもある。弱者の幸福追求のために本当に必要なこととは何なのだろう? そのために自分がやらなきゃいけないこととは何か? 「資本主義には勝てないが、資本主義に負けない空間はできる」の言葉にそうだなぁと思い、気持ちが少し楽になった。

【今日の一言】
「Kさんが路上で死ぬのは僕が嫌なんだ」という私の言葉に、医療を拒否していたKさんは考えを変えてくれ、病院へも行ってくれた。「お前は何者?」という自らへの問いにどう向き合い、人とどう関わるのか。“あたたかい言葉”はその姿勢から自ずと生まれるもの。

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