講師:石川一喜氏【拓殖大学講師】
前期の講義を通して私たちは何を感じたのでしょう?世界にある様々な問題に向き合い、何をしたいのでしょう?自分の興味・関心に向き合い、自分の足元から何ができるのか、後期の共働学習に向けたグループ作りを通して考えます。
【プログラムの様子】
(1日目)
≪前期振り返りワーク:アカデミアマップ≫
まず個人で各回の講義から思いつく単語・キーワードをあげていくワークを行いました。会場がとても静かになるくらいみんな真剣に取り組んでました。
そして次に数人で組んだグループで、まずそれぞれが考えたことをシェアし合って、挙がったキーワードをマッピングでまとめ、グループとしての各回のキーワードをあげていきました。終わりに各グループで出てきたキーワードを発表し合いました。
≪興味を見つめ直すワーク≫
はじめにワークの導入として個々が「自分はこんな社会にしたい」と思うことを25個とにかく書き出す作業をしました。なかなかやってみると25個だすのは大変でみな挌闘してました。そこから特に重要視する項目をあげ、それをグループ内でおのおの熱く語り合いながらシェアし合いました。
そこから今度はグループ内で1人のシートを他のメンバーが見ながら「井戸端会議」「うわさ話」をするというワークをしましたが、最初遠慮気味だった「うわさ話」もだんだんと板につき盛り上がってました。対象になったメンバーは話を聞き漏らさないでその様子を聞いてましたが人によっては自分の知らない気づきや、意外な見られ方を知る機会となったようです。
≪合意形成のワーク≫
初日の夜には石川講師のファシリテーションのもと、グループに分かれてのワークショップが行われました。
まず、それぞれがどういうことに興味があるか、テーマとしたいかを発表しあった後、5人ずつのグループに分かれ、「協力の四角形」のアクティビティを行いました。これは、参加者5人それぞれが数枚の平面図形を渡され、お互いにしゃべることなく、部品を交換し、5人とも同じ図形を完成させる、というものです。交換の際には参加者間での直接のやり取りは認められておらず、自分が不要なものをグループの中央に置き、必要と思われるものを中央からもらわなければいけない、という条件も課されています。
図形が比較的早く成功したグループと、なかなか形にならなかったグループがあり、その理由を考えます。できなかった理由には「(こういう形になるのではという)思い込みを崩せなかった」という意見が挙がっており、早くできた理由としては「周りを見るようにした」というのが挙がっていました。また「話して伝えられないもどかしさ」も出されていました。全体での振り返りでは、「ひとつのアイディアに固執すると進まない」「(参加者間で)定義がそれぞれ違う」「周りを見るべき」といったことが挙がりました。
次いで「月で遭難したら」というアクティビティを行いました。宇宙船が月面に緊急着陸し、生き残るために母船にたどりつかなければなりません。そのために必要なものを、与えられた15品の中から順位付けしていくというものです。最初は個人で、次にグループで相談しながら順位付けを行いました。NASAが出しているという「正解」と比べたところ、多くの人は、相談した場合に、より正解に近い順位付けを行っていました。
そこで石川さんから、集団での討議によって、個々人の知見の最大値よりも優れた結果が導かれることが多い、という研究がなされている、という指摘がなされ、共働学習の価値が説かれました。
3番目と4番目のアクティビティは、合意形成のアクティビティでした。携帯電話や優先席での居座りなど、車内での迷惑行為にグループで順位をつけるものと、日本全国の自販機の台数を推測するものです。しかし、そこには仕掛けがあり、何人かの参加者には、議論をかきまぜたり、円滑にしたり、という役割が前もって与えられました。
自説にこだわり続ける参加者の配置されたグループで、話し合いが険悪になったという意見が出された一方で、妥協しない人のおかげで、かえって早く意見がまとまった、というグループもありました。それに対しては、それぞれの議題は内容が異なるので、影響の与えられ方が違うのではないか、という意見が出されました。
(2日目)
≪他者理解のワーク≫
講義の最初に,先日配布された「他者理解のためのキーワード」が書かれたカードについて触れる。(一人2枚のカードを受け取り、両方に、自分が合宿中に他者理解に向けて目指したい目標について書き、1枚は、他の人とシャッフルして交換。自分の目標と他の人の目標の2つを持って合宿を過ごそうということになっていた)
それを昨日の夜到着した方に記入してもらっている間、朝ワークについての説明を参加者にしてもらう。-「秋」にまつわるものをみつけ,色鉛筆でその絵を描くというワーク。
石川さんのジョギング話とストレッチを経て、午前中のワークに入る。
グループをシャッフル,4グループに。出身地の東西南北,血液型のA,B,AB,O,など4つに分かれられそうなキーワードを出し、実際に分かれてみることによってウォーミングアップ。最終的に通し番号で4つのグループに分かれる。
9:25~
「他者とは誰か」のブレインストーミング。それぞれが定義する「他者」との距離を埋めるための話(老婆と貴婦人の絵を切り口に)。見えなかった一面、見えている一面を知る。貴婦人にとらわれて老婆が見えないことを認識。
パスタは小麦粉から?“パスタは摘まれている”BBCのビデオから。本物っぽい演出をどこに感じたか。
→真剣さ,ナレーターの落ち着き,低い声,映像,描写,権威。人も一つのメディア。情報を媒介する。
「話を聞く」ワーク(傾聴)
向かい合わずに話を聞く。相槌によって“理解されている”と認識できる。言い方,表情,トーンによって伝わりかたが変わる。いろいろなこと(言葉だけでなく、ノンバーバルな部分)に気を配ることの必要性。口を使わないcommunication。
話してはいけないゲーム 各自がルールブックを熟読して行うバーンガ
石川さんの自分史。幼少~病との闘い。人はみな存在の証明を欲しているのではないか?という話から、鹿川君の自殺の話(葬式ごっこ)につなげる。
→音声としての彼の声を「聴」けていたひとがいなかった。心の中の声なき声をどう聴くか。
→「フォトランゲージ」普段目にしているもの,見えていないものがある。真実の声を拾う、真実を見ようとする(他者理解の重要性についてお話)
「他者理解」のためのそれぞれの目標と、他のもう一人の目標の紹介
自分のことを知ってもらう/自分に置き換えて考える/何かを共同でしようとしたとき他者と違う動機がある。/プラスに行くような思考/自分の受け皿を広げる/理解しようとする/相手の気持ちを思いやる/自分の意見をきちんと伝える/意見を最後まで聞く/相手に心をひらく。受け入れる、いい顔をしない/人に特定のキャラを求めない/人を思いやる/自分の心を開き,相手の心を開かせ,行動も見る/理解する目的で人を見る/他者を理解しようとする/自分の受け皿を広げる/意見を最後まで聞く/自分から心を開く、心を見せる覚悟をする/誰彼かまわず好きになることはできないが、理解はできる/ひとの話を聞く/他者に興味を持つ、自己開示/相手を信頼/心を読む/自己開示/他者を尊重する/特定のキャラを求めない/その人の環境,立場を知る
まとめ
他者理解~相手は自分の鏡。“自分を別つ”自分のフィルターを通して他者を見ていることに気づく。
(北村さんの回に少しお話のあった)ジョハリ(それぞれには、自分にも他人にもわかっている窓、自分は知っていて他人が知らない窓、他人は知っていて自分で気づいていない窓、自分も他人も気づいていない窓という4つの窓があるとするもの)について説明。お互いが関わることで、気づいてない部分を開拓していくことができる。
≪グループづくり≫
まず、合宿に遅れてきた人にテーマ発表をしてもらいました。次に、デートゲームを行い、自分のやりたいテーマを二人でペアになって交互に話し合ってもらいました。当初設定していた一分間ではおさまりきらないほど、みんな熱心に話し合っていました。
それから、テーマを見つめなおす時間をとり、前の時間で話し合ったことを踏まえて自分のテーマを自分自身で見つめなおしてもらいました。隣にいる人と話したり、自分一人で考えたり、自由な雰囲気の中で行ないました。
そして、グループづくりに入ってもらいました。ここでは自分のテーマを似ている人との話し合いを通じて、テーマをより深く掘り下げていき、まだ流動的ですが、大まかにグループを作ってもらいました。当初は4つのグループができましたが、最後には3つのグループになりました。最後に、テーマを一人ずつ順番に発表してもらう個人発表をしてもらいました。