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現代社会をどう捉えるか‐過去との対話を通して‐ - 地球市民アカデミア > 過去の活動 > 14期(2007年度)

国際協力、開発教育、貧困、メディアリテラシー、社会的企業、地域活性化などを、講義・ワークショップで学ぶ通年の市民講座。講師,ファシリテーターによる教材,手法,研修,セミナーの紹介。

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現代社会をどう捉えるか‐過去との対話を通して‐

【概要】
日時:2007年6月30日(土)
場所:東京YWCA
講師:野上元氏【筑波大学准教授】

【コンセプト】
現代の諸問題はみな何かしらの過去を持っています。「歴史」はどのようにつくられ、どのように私たちの社会や日頃の振る舞いの中に溶け込んでいるのでしょうか。「国家」「メディア」をキーワードに、「歴史」との付き合い方を考えます。

【講義内容】
<「家族」を媒介に、少し「歴史」を広げてみる>
「自分のできごと」「家族・親のできごと」「世相・若者文化・日本社会」「世界」の4つに分けられて記述された年表。これらをはさみで切り離して、スライドさせてみましょう。自分は今、25歳。ではお父さんが25歳のとき、日本では、世界ではどんな出来事があったのでしょうか?お母さんはどんな社会の中であなたを産んだのでしょうか?このワークは、知識としてしか知らなかった「歴史」に温かみを感じることが目的です。

<講義前半 ~「歴史」とは何か?~>
我々はなぜ歴史を学ぶのか?そんな問いかけから、講義はスタート。野上さんはこれに対する1つの回答として、「過去との<つながり>を意識すること」こそが歴史を学ぶ1つの意義だと強調されました。たかだか70~80年の人の一生よりも長いスパンの時間の流れを想像する手がかりとして、「家族」そして「国家」があるということです。少し難しい話でしたが、ビデオを使うなどして楽しく講義は進みました。

<Break ~研究のきっかけ~>
今の研究を始めたきっかけは、「戦争体験記」を書いた方々への聞き取り調査だそうです。調査をしていて、体験記に「書き残されたもの」と「書き残されなかったもの」があることに気付く。その関係はどうなっているのか?というのが野上さんの問題意識の原点だそうです。

<講義後半 ~「歴史」化される記憶~>
前半で取り上げた「国家」(日本)の代表的記憶として「戦争」や「昭和」を考えてみました。しばしば「風化していく」と言われる兵士たちの戦争体験が、体験記や写真、マンガなどを通してどのように私たちの社会に残っていくのでしょうか。また、「ALWAYS」など近年映画などで盛んに取り上げられる「昭和」は、どのように人々の間に記憶として残されていくのでしょうか。様々な媒体の事例を取り上げながら解説していただきました。予想以上に色々な形で記憶(歴史)は保持されるようです。「なぜ昭和は夕焼けで表されることが多いのか」という問いには受講生も興味深げで、どんどん面白い仮説が生まれました。

<「90年代後半」「2000年代」の「歴史」を書いてみる>
講義を踏まえて、今自分たちが生きている時代を記述するというワークを行いました。主観的な実感や経験を「歴史」にしてみるという試みです。出てきた案では「賃金格差が拡大し~」など、社会的なものが多い様子。一方、やはり世間的に「重要」とされていることを書いてしまう傾向も強いようです。<つながり>を意識した未来へのメッセージって意外と難しいかもしれませんね。

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【受講生の感想】
・歴史って暗記教科ではなくて”つながり”を考えるものと捉えたら、とても身近なものに感じました。このことを歴史の勉強する中学生とかに知ってほしいなと思いました。当時の自分が知っていれば歴史に対する捉え方も変わっていたのになと思いました。

・100年後のこととか、100年後に生きる人たちから見た今の時代って、あまり考えたことなかった。たまには色々考えてみようと思った。

・歴史を事実だけではなく考える練習をしないといけないな~。頭がとてもかたくなってね…。

【運営委員より】
前回までの2回の講義では世界規模の(=ヨコの)<つながり>について考えてきました。今回はそれに加え、時間軸を越えた未来や過去との(=タテの)<つながり>の話と位置づけられるでしょう。野上さんの講義からは「社会問題を考えるときでも、現在のことだけを考えない」というメッセージが常に受講生に対して発せられていたように感じました。それにしても、意外な媒体から「歴史」を考察できるということに、受講生も運営委員もまず驚きでした。

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