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国際化時代における多文化コミュニケーション - 地球市民アカデミア > 過去の活動 > 13期(2006年度)

国際協力、開発教育、貧困、メディアリテラシー、社会的企業、地域活性化などを、講義・ワークショップで学ぶ通年の市民講座。講師,ファシリテーターによる教材,手法,研修,セミナーの紹介。

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国際化時代における多文化コミュニケーション

講師:ペマギャルポ氏(桐蔭横浜大学・大学院 教授/チベット文化研究所 名誉所長)

国際化という言葉だけが先行している感のある日本は、外国からどのような国に映るのでしょうか。多文化コミュニケーションという視点から、国際化とは何かを考えます。

【講義内容】
2回目の講義は、多文化をテーマにペマ=ギャルポ先生にお迎えしました。ペマ先生はチベット出身で、子どもの頃にインドに亡命。難民キャンプで少年期を過ごした後に来日され、日本での生活は40年余りになります。難民として過ごされた経験、チベット人から見た日本・日本人についての貴重なお話、文化、国際化に関する先生の考えなどを、とても穏やかな、でも力のこもった語り口で話して下さいました。

<チベットクイズ>
最初は、運営委員によるチベットクイズでスタート。○×クイズで、上位3名にはペマ先生から素敵なプレゼントがありました。
1.チベットの面積は日本の面積よりも広い。
2.チベット自治区の平均標高は4000M以上である。
3.チベット人の主食は米である。
4.現在のダライラマは(アカデミアと同じ)13世である。
5.ダライラマは現在インドに住んでいる。
(※正解は↓にあります。)

<生い立ち・個人史>
前半は生い立ちから、日本に来られるまでの体験談を中心に講義を聴きました。チベットの豪族の家に生まれ、裁判ごっこなどしながら過ごしていたところに、中国が攻め込んできたこと。逃げていく途中で、子どもだった自分にとって一番悲しかったのは、飼っていた犬との別れと、別れた馬が涙を流していたことだったという話。難民としてインドで過ごしたときのこと、など。大変な中を生きてこられた経験を、リアリティをもって、でもとても穏やかに語られていた姿が印象的でした。

<多文化共生・国際化について>
後半は、文化について話をして下さいました。文化は、歴史、自然、民族特有の経験、気候などから成り立っているものであり、どこに持っていってもよいというものではないこと。そこに生きた人たちの工夫の結晶であって、文化には優れた、遅れたということはないし、上下もないということ。地球市民ということを言っているが、地球全部を同じ文化に統一しようとする必要はない。様々な文化をそれぞれ大事にして、共有することが大切ということ、などなど。ご自身の体験に裏付けられた言葉が、どっしりと重みをもって心に伝わってきました。

<クイズ正解>
1.チベットの面積は日本の面積よりも広い。⇒×(チベットが独立国家だった時代の面積は日本の5倍以上。日本は38万平方キロ。チベット自治区は120平方キロだがチベット全体では230万平方キロ。)

2.チベット自治区の平均標高は4000M以上である。⇒○(旅行に行くときは高山病に気をつけましょう。)

3.チベット人の主食は米である。⇒×(ツァンパと呼ばれる小麦の粉をいためたものにバター茶を練りこんで団子状にしたもの。)

4.現在のダライラマは(アカデミアと同じ)13世である。⇒X (14世。輪廻転生が信じられていてダライラマ没後、湖で宣託を受けて探しにいくのは有名ですね。)

5.ダライラマは現在インドに住んでいる。⇒○(インドにお住まいです。)

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【受講生の感想】
・国際化が進む日本の現状についていけていない日本人。これからどうしていけばいいのか、ヒントをもらえました。「共有」「尊重」「共生」自分の意識をまず変えていきたいです。

・ご自身の半生を交えた体験から確信された共生の方法を聞く機会が持ててよかった。自分が知らなかったことがいつもながら多くてやれやれと思います。

【運営委員より】
説得力のある、味わい深い言葉やお話がたくさんあって、それぞれに心に残るお話をたくさんいただきました。日本の中にもたくさんの外国人が住むようになって、身近なところでも国際化が進んできているように思います。みんなを同じにしようとするのでなく、多様性を受け入れて、それぞれの文化を尊重することを通じて、本当の意味での国際化ができるようにならないと、と感じました。最後には、翌日に誕生日を迎えられるペマ先生に、12期生手作りの紅茶ケーキをプレゼント。忙しい中、ギリギリまで懇親会にも参加して下さり、素敵な時間となりました。

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