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地球市民アカデミア > 過去の活動 > 14期(2007年度)

国際協力、開発教育、貧困、メディアリテラシー、社会的企業、地域活性化などを、講義・ワークショップで学ぶ通年の市民講座。講師,ファシリテーターによる教材,手法,研修,セミナーの紹介。

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いじめ‐暴力の連鎖を断つために‐

【概要】
日時:9月8日(土)
場所:東京YWCA 217教室
講師:北村年子氏 【ルポライター/自己尊重トレーニング・トレーナー】

【コンセプト】
子どもたちだけでなく、私たちの生きる社会にさまざまな形で存在している「いじめ」。その連鎖を引き起こしているものは何なのか。「社会の共犯性」に目を向けるとともに、個々の内なる暴力と自尊感情の関係を「自己尊重ワーク」を通して理解します。

【講義内容】
はじめに、近くに居る人同士でグループになり、「夏休みの思い出」を話し合った後、それを寸劇にして表現しました。

講義の前半は、北村さんのご自身の過去の話も含めて、いじめの構造についてお話してくださいました。人が「弱音、本音、怖い、辛い、悲しい、逃げたい」という感情を押し込めたときに、自分を傷つける方向に向かうか、他人を傷つける方向に向かうかいずれかで、それが他人に向かったときにいじめとなるというお話でした。北村さんのお話に共感して涙を流す人もいました。

講義の後半は、ジェリー・ミンチントン著「うまくいっている人の考え方」より、自尊感情を高める52のチェックポイントについて、それぞれの項目が考え方として身についているかチェックしました。その後、呼吸法、そして二人ペアになっての自己開示のワークの、二つの自己尊重ワークをしました。

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【受講生の感想】
・自分の辛かったこと、悲しかったことを子どもに話してあげることのできる大人になりたいと思った。

・相手に対する思いやりは自分に対する思いやりから生まれてくるものだなと思った。自分をもっとみなおしてみようと感じた。

・命について考えることって、厳しくてこわいことだけど、永遠のテーマですね…

【運営委員より】
自分の内面、人の内面について改めて考えさせてもらえる講義でした。いじめは、いじめられる方ばかりでなく、いじめる方にもケアが必要だということがよく分かりました。そして“自分と仲良くすること”が周りの人とも仲良くできるコツなのだと気付きました。

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社会起業家‐地域通貨でつなげるコミュニティ‐

【概要】
日時:2007年7月28日(土)
場所:東京YWCA 217教室
講師:嵯峨生馬氏【アースデイマネーアソシエーション代表理事】

【コンセプト】
ビジネスを通じて社会に貢献する社会起業家。近年さまざまな業種、分野で活躍しています。地域通貨を通じてNPO、個人、お店や企業などをつなげる活動を続けている講師の思いと体験を通して、新しいビジネスや働き方の創造について共に考えます。

【講義内容】
<導入>
講義の最初に、嵯峨さんが企画されているアースデイマーケットの写真を見ました。地域日本全国から有機野菜や環境にいい商品を持って集まったお店が並んでいる様子や、通貨「r(アール)」で実際に買い物をしてみた様子から、地域通貨についてのイメージを膨らませました。

次に、4~5人のグループに分かれて「最近気になっている社会の問題」を出し合いました。「医師不足」、「地球温暖化」、「いじめ」、「有機野菜が高い」、「独居老人のコミュニケーション不足」、「自給率の低下」など、受講生が感じている様々な問題が出されました。

<講義>
講義の前半では、渋谷で運営している地域通貨であるアースデイマネーについてお話してくださいました。航空会社のマイレージポイントプログラムを例にした、地域通貨の定義とアースデイマネーが目指している「いいことをした人が得をする仕組み」についてのお話は、とても分かりやすいものでした。

後半は、「アップサイジング」をキーワードに世の中のいろいろな活動をつなげていくことの可能性と、現在嵯峨さんが取り組まれているサービスグラントなどの活動の事例を紹介していただきました。個人や団体をお互いに価値の高いところでつなげていくこと、持続させるためには循環させるための循環ではなく本当の意味での循環をつくることが必要、というメッセージが印象的でした。

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【受講生の感想】
・地域通貨は、地域の活性化だけじゃなく、社会貢献の促進ともつながっているということは知らなかったので勉強になりました。

・アップサイジングという新しい概念が勉強になりました。他、"企業の知恵"を"社会事業"にということもいい気づきになりました。

【運営委員より】
様々な分野で活動している人や団体を価値の高いところでつなげていくことで、そこからさらに新しい可能性が広がっていくんだ、という希望を持つことができた講義でした。

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貧困‐格差に隠された問題‐

【概要】
日時:2007年7月14日(土)
場所:東京YWCA 217教室
講師:湯浅 誠氏【NPO法人自立生活サポートセンター・もやい事務局長/便利屋あうん代表】

【コンセプト】
豊かな国と言われている日本。「格差」「底上げ」といったことが盛んに議論される中、そこに隠されている貧困の実態は?日本の中にもある貧困問題を通じて、なぜ貧困が生まれるのか、私たちに何ができるかを考えます。

【講義内容】
≪導入≫
自分達の最低生活費を計算してみよう。最低生活費計算シート(簡易版)を基に、最低生活費を計算。一人で生活する場合、家族や子どもがいる場合には、どれくらいが必要なのかを考える。ここでは、計算を簡単にするため、基本的な基準分類と「児童養育加算」「教育扶助」「住宅扶助」だけで計算書式を使いました。

≪講義≫
「現代日本の貧困 迫り来る〈貧困〉に、私たちはどう向き合えばいいのか」ということについて、様々な事例をもってお話しいただきました。

まずは、用語の問題として:
「ホームレス」と「野宿者」、「ネットカフェ難民」という言葉が使われているが、その言葉の意味する内容について。今の日本では、公園・河川敷や路上で生活する人だけをさして「ホームレス」と呼ぶことが多いが、「ホームレス」であるという状態はどういうことなのか。

「居住のグラデーション」 路上で暮らすということと、住む家があるという事の間には様々な居住形態がある。制度として、生活保護、ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法、ホームレス自立支援事業などがあるが、これらがどのような状況にあるか。

また、「貧困」が見えづらくなっている理由として、政府・マスコミ・市民・本人の「四重の否認」があるということをお話いただきました。最近の動向として、テレビで取り上げられるようになってきていること。格差から貧困(貧困を含む格差)へ実感を伴っての関心へと変化している。

そして、人はどうやって〈貧困〉まで追い込まれるのか。さらには、〈貧困〉とはどのような状態なのか。そして、自分たちには何ができるのか。順を追って丁寧にお話いただきました。

最後に、湯浅さんがこのような活動に関わる様になったきっかけなど、ご自身の体験についても語っていただきました。

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【受講生の感想】
・自己責任論が生まれるのは相手のバックグラウンドを見ていないからだと思った。そのためには自分で行って、見て、しゃべるのが大事やってことをあらためて感じた。

・貧困って、遠い国でのことと思ってた。日本は貧困を隠そうとしているって言葉に納得。

・貧乏と貧困の違いを教わったけど、まだよくわからない。みなさん、最低生活費を下まわったら生活保護をうけますか?

【運営委員より】
この講義の前の週に、北九州で生活保護打ち切りによる餓死者がでた。今まで、見ようともしなかった身近な問題が、徐々に深刻な状況へ進んでいる事をしった。知らなかったというよりも、知ろうとしなかった/知らされてこなかった問題について考える機会になった。

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