『地球市民』のための生涯学習の場。地球市民アカデミア。

11期(2004年)|活動報告ブログ【地球市民アカデミア】

『国際協力とは?』 / 2004-06-05 (土)

講師:大橋正明氏(恵泉女学園大学、(特活)シャプラニール=市民による海外協力の会代表)

開発と国際協力の歴史、理論的潮流を概観します。バングラデシュ、コソボなど長年にわたりNGOの国際協力の第一線で活動してきた講師の体験から実状を学び、私たちに何ができるかを考えます。

【講義内容】
講義は大凡二つの内容に別けることができます。
[1]国際協力とはなにか?
国際協力の概念は広く、開発協力や経済協力、国際交流などをも内包する概念である。国際協力の現場は多くの矛盾を抱えている。例えば、戦争を仕掛けて都市を壊しておきながら「平和構築」と称する開発援助を施す現実。平和=暴力のない状態と唱えつつも現存する多くの構造的貧困、構造的暴力。国際協力とは多くの矛盾を抱えつつリフレクションを通して物事の真理に近づいていく試行錯誤の連続である。そのため、国際協力に携わるものは絶えず開発的な考え方を持ち、相対的な価値判断を下していく必要がある。富の分配・食料援助一つ取ってもその構造を理解しない限り対応はできない。愛情だけでは地球は救えないのである。
[2]NGOとはなにか?
欧米と日本での考え方の違いがある。日本ではNPOとNGOを別ける傾向になるが欧米ではNGOはNPOの一部である。近代的な国民国家を構築する上でNGOが果してきた役割は大きい、古くはYMCAや赤十字もNGOである。国際協力の現場では、NGO=都市の高学歴者の集まりであることがある。しかし、重要なことは”現地の誰と活動をしてきたのか“である。ヒト・モノ・カネが瞬時に世界を跨ぐ世において、競争に取り残された人々を救うのかを考えていく必要がある。国益と市民の目的は必ずしも同一ではない。人間の同義として助けが必要な人たちの目線に下りていく存在が必要である。

『国際協力とは?』 『国際協力とは?』

【受講生の感想】
・「矛盾を抱えながら行動していく」という強い信念を聞いて、もっと自分なりにできることを考えていきたいと思いました。知っているようで知らないこと、いいと思ってやっていることが実は思い込みであったりと多くの気づきがあったので、自分の中で深めていきたいと思います。
・声なき人々の声をいかに伝えていくか、それがNGOの大きな役割だという話は印象的だった。周りを見ると国際協力に関心を持つ人と全く関心のない人の境界ははっきりとある。自分たちが経験から得たこと、学んだことをいかに広く伝えていけるか、行動につなげていけるか、その手段と戦略を探っていきたい。

【今日の一言】
「愛」では地球は救えない、しかし、好きな地域をもって開発や協力をみてほしい。

『国際協力とは?』 『国際協力とは?』
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『紛争の現場から』 / 2004-06-26 (土)

講師:佐藤真紀氏((特活)日本国際ボランティアセンター)

紛争の現場では、何が起き、そこにいる人々はどのような痛みを負っているのでしょうか。NGOとしてパレスチナ・イスラエルなどで支援活動に携わってきた講師から現地の実状を聞き、知ることの意味を考えます。

【講義内容】
日本ボランティアセンターの佐藤さんより、パレスチナ・イラクなどでの支援活動、現地の状況についてお話を伺いました。佐藤さんは紛争に巻き込まれている子供たちの描いた素直な絵をグラフィックデザインの技術を使い、一般市民へ発信しています。子供たちに自画像を描いてもらうプログラムの紹介から、子供たちの立場、気持ち、紛争の悲惨さ、矛盾などを分かりやすく説明してくださいました。日本政府ができること、NGOができることを佐藤さんの経験から伺うことができました。

『紛争の現場から』 『紛争の現場から』

【受講生の感想】
・聞けば聞くほど、知れば知るほど、世界平和って難しいなと思う。だけど、夢を持って生きている子どもたちがいるのだから、一歩ずつできることをしてきたい。
・戦火にいる子どもたちの絵、写真を見ながら微笑んでいる自分、泣きそうな自分がいました。子どもたちには「こうなりたい」という夢があって、死を直前にしてもその表情はとても明るい。心からの笑顔なのか、それとも笑顔でないとやっていられないのか・・・。私はこの両方を含んだ笑顔のような気がしました。
・佐藤さんは想像力が大切だと仰っていて、僕も大切なことだと思っています。しかし、想像できなくなっているのが今の僕です。イラクがとても身近な問題として捉えることができない。ほとんどの人がそうだと思います。感じることができない人がたくさんいます。とても悲しい現実です。感じることのできない自分が、僕の大きな問題です。

【今日の一言】
想像力がすごく大事。痛みにしても、音にしても、情報は文字だけでなく、生にふれること。

『紛争の現場から』 『紛争の現場から』
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『貧困‐見えてないこと、見ていないこと‐』 / 2004-07-10 (土)

講師:稲葉剛氏(NPO法人自立生活サポートセンター・もやい代表理事)

貧困は遠い国だけの問題でしょうか? 豊かといわれる日本の中での貧困-ホームレス問題など-は、その人の責任によると思われがちです。今、目の前にある事柄を通じて、貧困を生み出す社会構造や、人が人らしく生きるとはどういうことかを考えます。

【講義内容】
日本の野宿者(ホームレス)の状況が生み出される要因は、 他国のように明確な労働問題としてではなく、個人の責任によると捉えられがちである。行政は、ホームレスの人々や外国人労働者を「排除」してきたが、最近はNGO団体との連携もとりつつ対策を講じ始め、行政の対応にもやや変化がみられる。近年、若者の不安定就労の傾向が強まり、新たな相談・支援形態の必要性も感じられる。 競争社会の中で、経済面のみならず、人間関係も失っているホームレスの人々の自立支援に医療保障・周囲の理解は欠かせない。他国のような宗教ベースも高福祉社会制度もない日本。だが、勝てずともせめて負けない社会は一人一人の手でつくっていけるのではないか。

『貧困‐見えてないこと、見ていないこと‐』 『貧困‐見えてないこと、見ていないこと‐』

【受講生の感想】
・「ホームレス」状態にある人々が一人でも減ること。"排除"ではなく"回復"できること。豊かさの影にある現状をまず知ることが必要だと思う。差別、偏見を失くすことがその第一歩となり得るのではないか。まずは直視したい。
・「貧困」は私にとって大きなテーマでもある。弱者の幸福追求のために本当に必要なこととは何なのだろう? そのために自分がやらなきゃいけないこととは何か? 「資本主義には勝てないが、資本主義に負けない空間はできる」の言葉にそうだなぁと思い、気持ちが少し楽になった。

【今日の一言】
「Kさんが路上で死ぬのは僕が嫌なんだ」という私の言葉に、医療を拒否していたKさんは考えを変えてくれ、病院へも行ってくれた。「お前は何者?」という自らへの問いにどう向き合い、人とどう関わるのか。“あたたかい言葉”はその姿勢から自ずと生まれるもの。

『貧困‐見えてないこと、見ていないこと‐』 『貧困‐見えてないこと、見ていないこと‐』
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『世界の読み方・語り方』 / 2004-07-24 (土)

講師:野中章弘氏(アジアプレス・インターナショナル代表)

多様なメディアを通して私たちは溢れる情報に接しています。しかし、それらを多面的に受け止め、「真実」を見出していると言えるでしょうか。イラクや北朝鮮などの報道を通して情報をどう読み取り、語っていくかを考えます。

【講義内容】
前半はイラク戦争に関するアンケート・クイズから受講生の平和と戦争についての質問から始まりました。人々は平和を望んでいるのに、戦争が起きるのはなぜか。平和の為に戦争をするという事は一体何を意味しているのか、またその矛盾の満ちた戦争はメディアを通してどのようにして私たち受け手側に届くのか。イラク戦争の新聞やビデオを教材に講義は進みました。
後半ではアジアプレスは何を社会・世界に発信するのか、また野中さんご自身がジャーナリストである事の意味等、熱く語って頂きました。また質疑応答で「バランスのとれた情報を取得する為にはどうすればよいか」という問いに対しては、考える力(読む力・書く力)「思考の筋肉」を付ける事が重要と仰っていました。

『世界の読み方・語り方』 『世界の読み方・語り方』

【受講生の感想】
・今回の野中さんの話には非常に共感を持ちました。まずメディアの在り方と味方について。様々な立場のメディアがあることは仕方がない。それを見聞きする人が自分で考える力を持って、疑問を感じ続ける、そして別のメディアを模索し、さらに考え続ける。これが遠回りのようで、やはり唯一の正しくメディアを見る方法だと思います。
・「戦争を根源的に考えてみよう」最初にホワイトボードに書かれた言葉は、戦争ということだけでなく、あらゆる問題に対しても言えることだと思った。問題はどこにあるのか、矛盾があるなら、その理由を突き詰めていく、そんな問題の捉え方(考え方)をすることが必要だと思った。

【今日の一言】
自分の頭で考える力を身に付けてほしい。モノの最後は自分で考えて、マイノリティになることを恐れず、自分の考えを恐れず、個が出せるように頑張って下さい。モノを考える人間になって下さい。

『世界の読み方・語り方』 『世界の読み方・語り方』
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『学び・生きる場の発見』 / 2004-09-11 (土)

講師:下羽友衛氏(東京国際大学)

ひとりひとりが思い巡らす「なぜ?」という疑問は学びの出発点です。それが、自分から他者・社会につながっていき、大きな力になっていくのではないでしょうか。私たちがこれから学び、生きる場をつくるために、自分と世界のつながりを知り、知識と行動を結びつけていきます。

【講義内容】
「自分らしく生きることとは?」「市民が自ら考える力をつけることとは?」との問いが常に念頭にあった。
前半の講義では、下羽さん自身の「?」やそれについての学び方、そしてそれの広げ方、問題解決能力を上げることとはについて語っていただいた。また、日本とドイツの学生を比較し、日本の市民がいかに育っていないか、知識不足が露呈されたことも実体験をもとに話された。
後半の講義では下羽ゼミについての解説。統計を用い、行動へのきっかけ作りとその影響力について語られた。考えるための思考力を養い、具体案を作成する力、発信していくこと、地球市民として出来ることとはどういうことか、示唆を得た思いだった。

『学び・生きる場の発見』 『学び・生きる場の発見』

【受講生の感想】
・知識と意識と行動をつなげることや批判的にものを考え、具体案を策定する力をつけていくべきだと思う。ホンモノに触れることによって関心のない人の目が開くことがあるのなら、関心のない人たちにそのきっかけを与えるべきだと思った。
・現場体験ですよね。現場には理屈を越えて訴えてくる力がある。それで、無気力だった若者が「よみがえる」というのは分かるような気がする。私も現場に行きたくなった。

【今日の一言】
私たちが変わる、私たちが変える。「ただ○○をした」ではなく、そこから何を感じたか、何を学んだかが大切。自分の生き方を見つける旅をする。

『学び・生きる場の発見』 『学び・生きる場の発見』
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『企業と市民の社会的責任』 / 2004-09-25 (土)

講師:菊地健氏(松下電器産業株式会社 社会文化グループ/CSR担当室)

社会の中で「企業」とはどのような存在なのでしょうか? 私たちとどのような関係があるのでしょうか?企業や市民が社会に対してどのように責任を持ち、協働しながら貢献していけるのか、私たちの積極的な関わり方を考えます。

【講義内容】
松下電器産業の普通の新製品開発員であった菊地さんに、今まで(CSR担当室に勤めるに至まで)に行ったことを自作ビデオと共に具体的に語って頂きました。障害者にやさしい調理器への取り組みやアースデイおおさかへの参加、NPOの経営基盤強化のための助成金制度の設立等、今となっては当たり前のものもあれば、斬新なものまで活動内容は様々でした。その中で、企業が社会に対して(CSR)というよりも企業にいる個人が社会に対して何が出来るのか(PSR)を考えさせられる講義となりました。

『企業と市民の社会的責任』 『企業と市民の社会的責任』

【受講生の感想】
・企業による社会貢献活動というと今までは生産活動による環境への悪影響の罪滅ぼし的な意味合いが強い気がしていたが、CSRはそこからさらに一歩も二歩も踏み込んだ動きであることが分かった。市民活動を応援するだけでなく、企業として独自のプログラムの創造、開発こそ真のCSRではないかと思った。そこに自分がどう関わっていけるのかを考えたい。
・社会人生活を始めて1年半。本当に自分のやりたいことは何かと考えるようになった。このいびつなどこか無理のある世界。それを少しでもいい方向に向けていくプロセスに自分も関わりたいと思う。今の社会を変えるには、一人一人のライフスタイルを変えていくしかない。人と出会うことで人は変わると思います(もちろん悪い方向にも)。
・大企業であればCSRを意識するだろうが、日本の企業はCSRなんて考えていけるのだろうか・・・?

【今日の一言】
企業の社会的責任(CSR=Corporate Social Responsibility)と同様、個人の社会的責任(PSR=Personal Social Responsibility)も大切!

『企業と市民の社会的責任』 『企業と市民の社会的責任』
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